ルネサスエレクトロニクスが増資をしたことで、株価が一時的に下がったのはなぜなのか?
逆に自社株買いをした企業の株価はどうなのか?
今回は「増資」と「自社株買い」について調べていこうと思います。
ぜひ、参考にしてみて下さい
※投資は自己判断、自己責任でお願いします。
増資について
たまに、企業が増資したって話を聞きますが、そもそも増資って何でしょう?
増資とは、会社が新しく株を発行して、資金を調達することです。それによって、発行済み株式数は増えることになります。
では、増資によって株価はどうなるでしょう?
基本的に、増資は株価を下げる要因になることが多いです。
今回、増資をしたルネサスエレクトロニクスも一時的に株価が下落しました。(その後、持ち直しましたが)
[株価下落の原因は増資による1株当たりの価値が希薄化]
当期純利益が120億円として、2000万株の新株を発行
上の図を見て頂ければわかるように、2000万株の増資をした結果、1株当たりの利益が120円から100円に減っています。
この1株当たりの価値の低下が生じることを「希薄化」と言います。
株式数が増えるわけですから、1株当たりの利益が薄まるってことですね。
投資家は、この「希薄化」を嫌気して株を売る傾向にあるのでしょう。
これが、増資によって株価が下がる原因です。
では、実際にルネサスエレクトロニクスが増資した時の、株価はどうだったのでしょう?
(出典 株探 https://kabutan.jp)
赤丸の部分が、ルネサスエレクトロニクスが増資を発表した日です。
発表の翌日に、株価が約7%も下落しました。
しかしながら、その後、株価はすぐに持ち直しているのがわかります。
ルネサスエレクトロニクスの増資の目的は、英国のダイアログ・セミコンダクターの買収資金に充てるためです。
増資によって資金調達したお金を、企業買収という形で前向きに使って、大きな利益に繋げていきまっせということですね。
このように、「希薄化」のデメリット以上に利益を得ることができそうだと投資家が判断すれば、株価は上昇に転じることがわかりました。
結論として
増資は、株価を下げる要因になりますが、調達した資金をうまく活用して大きな利益を出せそうだと投資家が判断すれば、株価が上昇する要因にもなります。
増資によって株価が下落した場合は、その増資目的を調べることが大事ですね。
自社株買いについて
自社株買いは、その名のとおり、会社が自分の株を買うことです。
自社株買いは、増資とは逆に、発行済み株式数が減ります。
基本的に、自社株買いは、株価を上げる要因になることが多いです。
[1株当たりの価値が上昇]
当期純利益が120億円として、2000万株の自社株買いを実施
上の図のように、2000万株の自社株買いを実施した結果、1株当たりの利益が100円から120円に増えているのがわかります。
1株当たりの価値が上昇し、株主の利益になるということで、株が買われやすくなります。
企業が自社株買いをする狙いは、「買って株価を押し上げる」ことではないです。「1株当たりの利益を増やす」ことにあります。
また、企業が自社株買いをする狙いとして、ROE(自己資本利益率)の数字を高くして、投資対象としての魅力を高めたい狙いもあります。
ROE=当期純利益÷自己資本×100
ROEは簡単に言うと、株主から集めた資金を、どれだけ効率的に利益をあげてますかって話です。
ROEの数字が高いほど、能力の高い経営がなされてますねってことです。
自社株買いをすると、分母である自己資本が減りますので、ROEが高くなります。
ROEが高くなれば、投資家たちに注目されやすくなります。
まとめ
・増資は、「希薄化」により株価が下がる要因になる。
しかし、増資により得た資金を使って、「希薄化」のデメリット以上に利益を得ることができそうだと投資家が判断すれば、株価は上昇する。
増資の目的をチェックしよう!
・自社株買いは、1株当たりの価値が上昇するので、株が買われやすくなり、株価上昇の要因となる。
ー自社株買いの狙いー
①1株当たりの利益を上昇させる
②ROEを改善し、投資対象として魅力を高める。
以上。