今回は、金利と株価の関係について解説していきます。
金利は、株式投資あるいはFXをしている方にとって重要な用語にになります。
僕はまず、株価を見る前に金利の動きをチェックしています。
それくらい金利は大事です。
ズバリ、金利が動けば株価は大きく動きます。
※投資は自己判断、自己責任でお願いします。
グロース株とバリュー株とは
まず、金利と株価の話をする前に、グロース株とバリュー株についての確認です。
この両者の違いが、今後の金利上昇に対応するために重要になってきますので、一応確認しておきます。
グロース株とは、業績が右肩上がりで、売上や利益が毎年大きく上昇している銘柄のことです。特に売上が重要で、赤字であっても、売上がグングン伸びていればグロース株となる銘柄もあります。
[グロース株の特徴]
PERやPBRが高く割高な場合が多い
配当が少ない又は無配が多い(利益は配当よりも事業拡大資金へ)
・グロース株の日本企業
エムスリー、ミンカブ、メルカリ、チェンジ、メドレーなど
バリュー株とは、売上や利益に大きな伸びが期待できないため、本来の企業価値からして株価が低いまま(割安)放置されている銘柄のことです。
[バリュー株の特徴]
PERが低く、PBRも1倍前後
配当利回りが高い傾向
・バリュー株の日本企業
三菱UFJなどの銀行株、トヨタなどの自動車株、エネルギー関連株など
✳️PER(株価収益率):1株当たりの利益に対して株価がどのくらい高いかを示す。平均的には15倍〜20倍程度。
✳️PBR(株価純資産倍率):1株当たりの純資産に対して株価がどれくらい高いかを示す。1倍以下だと割安。
金利と株価の関係
一般的に、金利が上昇すると株価が下がり、金利が下落すると株価が上がる傾向にあります。
それは、イールドスプレッドが関係しています。
イールドスプレッドについての解説は楽天証券のマネー用語辞典から引用します。
・イールドスプレッドとは
イールドスプレッドとは、長期金利と株式益回りの差。英語では「Yield (利回り)spread(金融取引における差)」といいます。イールドスプレッドとは、簡単に言えば「利回りの差」のことです。債券同士を比較したり、債券と株式の利回りを比較するときに使われます。たとえば、債券と株式を比べる場合、長期金利と株式益利回りで比べたりします。この差から、株式相場が割安なのか、割高なのかを判断する指標とされます。イールドスプレッドが小さいほど株価は割安で、大きいほど割高との判断材料に使われています。
イールドスプレッドが小さくなる=株式の利回りが高くなる=株式は割安であることを示します。逆に、イールドスプレッドの値が大きくなる=株式の利回りが低くなる=株式が割高になったことを示します。
出典:楽天証券
金利が上昇すると、株式が割高なるので、安全性の高い債券へ資金をシフトする投資家が増えて、株価は下落する傾向にあります。
今後、アメリカの長期金利が上昇することによって、株価下落のリスクが高まりますので、金利の動向に注意が必要です。
もちろん、アメリカの金利の動向は、日本株にも大きな影響を与えます。
アメリカの金利上昇によって買われやすい株と売られやすい株は?
・PERの高いグロース株が売られやすい
・高配当のバリュー株が買われやすい
PERの高いグロース株が売られやすい
アメリカの金利上昇によって注意したいのが、グロース株ですね。
先ほど書いた通り、金利の上昇によって株価は下落しますが、特にPERの高いグロース株は売られやすい傾向にあります。
新型コロナの影響もあり、低金利な状況の中でグロース株はグングン株価を上げていきましたが、アメリカの金利上昇をきっかけに株価が下落しています。
そこで、アメリカの長期金利の上昇によって、グロース株であるエムスリーの株価がどうなったかを見ていきます。
ここ1年のアメリカの10年国債の金利です。
(出典 三井住友銀行)
2020年の夏ごろから緩やかに金利が上昇していましたが、2021年1月の後半から急激に金利が上昇しているのが分かります。
そしてエムスリーの株価チャートです。
(出典 株探 https://kabutan.jp)
2021年1月から株価の上昇トレンドが終わり、その後、もみ合いの後に1月後半から下降トレンドに転換しています。
アメリカの金利が急上昇したタイミングで、エムスリーの株価も下落し始めました。
エムスリーに限らず、PER無視で株価を上昇させてきたグロース株の多くが下降トレンドに転換しています。
アメリカの金利上昇が、グロース株にとって非常に厳しい状況をもたらしているのが分かります。
そこで注意したいのが、アメリカの金利上昇はこれからが本番だということです。
いずれ利上げすることは確定しているのですが、どのタイミングなのかってことで、たびたび大きなニュースになっています。
(出典 NHK)
2022年の後半には利上げするのではないかとの見方もありますが、まだ未定です。
2022年ってまだ少し先の話だと思われるかもしれませんが、株価は早めに動きますので、今から注意したいですね。
結論として、金利上昇の局面では、グロース株に積極的に投資するのは控えた方がいいですね。
高配当のバリュー株が買われやすい
金利上昇の局面ではグロース株が売られやすいと書きましたが、ではここから、どういう銘柄を買っていけばいいのでしょうか?
ズバリ、高配当のバリュー株がおすすめです。
今まで、割安で放置されてきたバリュー株が、金利上昇をきっかけに、その価値が見直されて、株価が上昇する可能性があるからです。
金利上昇の局面では、高配当のバリュー株に注目が集まる傾向があります。
そこで、オススメの高配当銘柄を4つ紹介したいと思います。
①三菱UFJフィナンシャルグループ[8306]
銀行株は入れておきたいですね。なぜなら、金利上昇は銀行にとってプラス材料ですからね。利ざやで稼ぐ銀行にとって、金利上昇は儲けやすくなります。
そして何より業績が安定しています。
PER:9.19倍
PBR:0.46倍
年間配当:27円(中間13.5円 期末13.5円)予想
予想配当利回り:4.44%
前期配当性向:41.3%(2021/3)
三菱UFJの分析記事はこちら↓
三菱UFJフィナンシャルG(三菱UFJ銀行)の株価と配当を分析!今後の将来性は?
②オリックス[8591]
オリックスは配当利回りが高く、株主優待で全国のグルメ品が並ぶカタログギフトがもらえます。個人投資家に人気の銘柄ですね。
PER:12.37倍
PBR:0.79倍
予想年間配当:78円(中間39円 期末39円)
予想配当利回り:4.05%
前期配当性向:50.1%(2021/3)
③日本電信電話(NTT) [9432]
誰もが知ってる企業NTT。国内通信最大手です。業績もチョー安定していて、2022年3月期は増益予想です。11期連続で増配。
PER:9.5倍
PBR:1.37倍
予想年間配当:110円(中間55円 期末55円)
予想配当利回り:3.80%
前期配当性向:42.3%(2021/3)
④KDDI [9433]
KDDIといえば、携帯電話auブランドで有名ですね。携帯電話事業は安定的な収益があることから不況に強いと言われています。オススメの高配当銘柄として雑誌やネット記事にたびたび取り上げられています。20期連続の増配。
PER:11.7倍
PBR:1.61倍
予想年間配当:125円(中間60円 期末65円)
予想配当利回り:3.63%
前期配当性向:42.2%(2021/3)
以上の4銘柄を紹介しましたが、他にもたくさん高配当の銘柄はありますので、これを機に探してみてはどうでしょうか。
まとめ
金利上昇の局面ではグロース株よりも高配当バリュー株を狙う!
・おすすめ高配当4銘柄
①三菱UFJフィナンシャルグループ[8306]
②オリックス[8591]
③日本電信電話(NTT)[9432]
④KDDI [9433]
株式投資は自己責任でお願いします。
以上。