東証グロース
証券コード:5032
今回は、2022年6月8日にIPO(新規上場)したエニーカラーを紹介します。
VTuverの運営を行なっている会社ですが、今後の将来性について考察していきたいと思います。
今後の業績を占う上で大事なのは、海外事業がどれだけ伸びているかだと思っています。
NIJISANJI ENの売上高の推移に注目していく必要があります。
※投資は自己判断、自己責任でお願いします。
目次
エニーカラーの特徴
[10秒でわかるエニーカラーの特徴]
・業界最大手
・売上の半分以上はグッズ販売による
・高収益で財務は健全
・海外事業『NIJISANNJI EN』の売上は右肩下がり
・VTuberの数は横ばい
・業績は好調だが株価は低迷
エニーカラーの事業内容
エニーカラーは、VTuberグループの「にじさんじ」を運営している会社です。
VTuberの育成やライブイベント、グッズなどの販売を行なっています。
(出典 ANYCOLOR)
<事業内容>
【Live Streaming事業】
→YouTube等の動画配信による収益(Googleアドセンス、メンバーシップ収益、Super Chat収益)
【ライブイベント事業】
→ライブチケットの販売
【コマース(コンテンツ)事業】
→グッズ、デジタルコンテンツ販売
【プロモーション事業】
→ゲームやアプリとタイアップ、企業案件など
売上の柱はコマース事業
4つの事業の売上構成を見ていきましょう。
一見すると、Live Streaming事業が一番売上を上げているのではないかと思ってしまいますが、実はコマース(コンテンツ)事業が売上の柱となっています。
<売上構成>
Live Streaming事業→22%
ライブイベント事業→7%
コマース(コンテンツ)事業→47%
プロモーション事業→18%
(出典 ANYCOLOR)
グッズ販売などを行なっているコマース事業が全体の売上の47%を占めております。
VTuber関連のグッズが売れているみたいです。
全体の売上の約半分は物販で稼いでいることになります。
VTuber界のパイオニア
エニーカラーは、VTuberにいち早く目をつけて事業拡大を加速させた会社であり、VTuber界のパイオニアと言えると思います。
(出典 ANYCOLOR)
ANYCOLORが運営する「にじさんじ」のVTuberチャンネル数は業界No.1です。
「にじさんじ」は世界的に話題性がありますので、今後もチャンネル数は伸びていくと思います。
Twitterトレンドランキングで世界1位を獲得したり、YouTubeライブ最高同時視聴者数20万人超を達成したりと「にじさんじ」の勢いを感じます。
(出典 ANYCOLOR)
海外事業が成長鈍化?
エニーカラーがこれからも業績を伸ばしていくためには、海外事業の成長が欠かせません。
英語を用いて活動するVTuberプロジェクト『NIJISANJI EN』の売上推移に注目していく必要があります。
(出典:エニーカラー)
上のグラフの右側の『NIJISANNJI EN』の売上高の推移ですが、2023年3Qをピークに右肩下がりになっているのがわかると思います。
2024年4月期の3Qでは、前期比で−40%の減収となっており、海外事業が苦戦していると投資家から見られてしまっています。
これを受けて、株価は大暴落しております。
海外事業がこれから反転攻勢していけるかが、今後のポイントになります。
VTuber数は横ばい
海外事業が苦戦している点の他に今後の成長に不安がある点として、VTuber数が横ばいであまり増えていない状況があります。
(出典:エニーカラー)
2024年に入ってから、国内及び海外でVTuberがほとんど増えていません。
今までVTuber数が右肩上がりに増えていくのと比例して、エニーカラーの売上が伸びてきた事実があります。
今後も成長を続けていくためには、 国内、海外共にVTuberの数を増やしていく必要があります。
業績について
(出典 株探 https://kabutan.jp)
業績に関しては、過去最高を更新し続けているので、素晴らしいものがあります。
売上、利益ともに毎年+30%以上の成長を続けています。
投資家は今後も同じように成長していけるかに注目しております。
海外事業が苦戦している数字が出ていますので、今後の将来性に不安を持っている投資家が多いと思っています。
収益性が高い
エニーカラーの業績で特徴的なのが収益性の高さです。
(出典 株探)
2023年4月期の営業利益率は37%、ROEは68%と驚異的な数字です。
エニーカラーが行なっている事業はかなりの高収益ビジネスと言えます。
ROE・ROAとは?
✴️ ROEとは、自己資本利益率の意味であり、株主から集めた資金を使ってどれだけ効率的に稼ぎましたかという指標になります
ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
✴️ ROAとは、総資産利益率といい、総資産からどれだけ利益を生み出したかを示す指標です。
ROA(%)=当期純利益 ÷ 総資産 × 100
業績の見方についての記事はこちら↓
株探を使って業績を分析する方法(成長株編)簡単にサクっと分析!
財務について
(出典 株探)
自己資本比率は79%もあり、財務面は良好です。
借入金もほとんどないですし、現預金もしっかりあります。
財務は健全と言えると思います。
株価について
上場してからの株価チャートを出しています。
(出典:株探)
最高値:4,460円
最安値:1,965円
海外事業が苦戦していることを考えると、積極的には買えない銘柄だと思っていますが、さすがにPER20倍を割ってくれば割安ではないかと個人的には思っています。
これから株価が上昇トレンドになるには、海外事業の反転攻勢が必要不可欠だと思っています。
まとめ
【ANYCOLORのまとめ】
・VTuber業界のパイオニア
・売上の柱はコマース事業(物販)
→全体の売上の47%
・驚異的な収益性
→ROE50%以上
・財務は健全
→自己資本比率79%
・海外事業が右肩下がり
→成長鈍化で株価暴落
・VTuber数は横ばい
→今後の成長に不安?
エニーカラーは、足元の業績は素晴らしい会社ではありますが、海外事業の成長鈍化がどうしても気になるところです。
海外事業『NIJISANNJI EN』は、大規模投資でテコ入れが必要だと思います。
さらにVTuberの数も増えていない状況を考えると、今後の将来性に不安が残ると思います。
積極的には株を買いづらい銘柄ではありますが、個人的にはPER20倍以下なら割安水準と考えています。
エニーカラーの課題
最後にエニーカラーの今後の課題について書いておきます。
Live Streaming事業は、YouTubeで動画配信を行うことで、Googleアドセンスなどの収益を得ていますが、何らかの規約違反で動画配信ができないというリスクがあります。
他社の動画配信プラットフォームを利用している以上、これは常につきまとうリスクです。
YouTubeに依存している状況を、これからどのように改善していくかが課題だと思っています。
そしてもう1つの大きな課題があります。
VTuber業界は今後、競争の激化が予想されるので、エニーカラーが現在の地位を維持できるのかどうかです。
現在でも競合他社は複数存在しておりますし、これから新規参入してくる企業もあると思います。
このような厳しい環境の中で、今のような高い成長性を維持していけるのかどうかが今後の課題です。
以上。